講演の仕事で熊本へ出張した。
熊本も早々に梅雨が明けていて暑かった。
タクシーの運転手さんの話によると台湾のTSMCの工場が出来た影響で熊本の景気はよいとのことだった。
空港でも外国人が多かったが、そのほとんどがアジア系の人々だった。
今回、初めて訪問し、参拝することになった神社があった。
熊本で最も参拝したかった神社といってよい。
新開大神宮だ。神風連の乱の首領、大田黒伴雄が宮司を務めたことで知られる。
神風連とは、廃刀令、断髪令、日本が日本でなくなることを憂えて蹶起した人々だ。もとより生還を期すことのない、精神的蹶起といってよい。
破れることが必然であった闘いに赴いた武士たちの胸中に去来したのは何だったのか。様々な想いが膨らんだ。
桜山神社も参拝したが、残念なことに新風連記念館は閉館されていた。
郷土の歴史を語り継ぐためにもこうした記念館を残しておくことは重要だ。
神風連の乱を扱った文学として名高いのが三島由紀夫『豊饒の海』、第二巻「奔馬」である。
熊本市内の古書店で神風連関連の書籍を購入し、色々と考えた。
日本の保守主義を考える際に、忘れてはならない地、それが熊本だ。
