月刊正論10月号に岩田温の論説が掲載されました!

考察・保守主義「社会契約論という愚民思想」

【概要】
ルソー『社会契約論』における「立法者」概念の危うさを検証する。ルソーによれば、大衆は自らの真の利益である「一般意志」を必ずしも認識できない愚かな存在であり、それゆえ人々を正しい方向へ導く超越的な「立法者」が不可欠だとされる。この立法者は個人の自我を社会全体に溶け込ませ、「共同の自我」へと人間を作り変える権能を持つとされ、社会全体のために個人を犠牲にすることも厭わない思想が展開される。続いて、ルソーが理想の立法者の実例として称賛した古代スパルタのリュクルゴスの生涯と統治を、プルタルコス『英雄伝』やマキャヴェリ『ディスコルシ』を引きつつ詳述し、私有財産の否定や子供の共同管理・徹底した集団教育など、全体主義的とも言える統治手法を紹介する。最後に、リュクルゴスが自らの法を永続させるために死を選んだ逸話を通じ、ルソーの立法者論がフランス革命の指導者たちの革命思想に連なる危険性を論じている。

【参考文献】
ジャン=ジャック・ルソー『社会契約論』
ジャン=ジャック・ルソー『人間不平等起源論』
プラトン『法律』
プルタルコス『プルタルコス英雄伝』
マキャヴェリ『ディスコルシ』

【キーワード】
ルソー『社会契約論』/立法者/一般意志と愚民思想/共同の自我/リュクルゴス/スパルタの混合政体/私有財産の否定/集団教育・共同食制度/マキャヴェリ/革命思想への継承