月刊日本9月号に岩田温の論説が掲載されました!

岩田温×山崎行太郎 今こそ「江藤淳」を読み返す⑦

【概要】
江藤淳『成熟と喪失』が父性原理と母性原理という二つの軸から日本近代文学を論じた著作であり、「アメリカと私」から帰国した江藤が父を捨てた医師の話をイタリアから移民した母の物語と重ね合わせて考察していると紹介する。また庄野潤三『夕べの雲』評における「治者」概念に触れ、江藤が家長として家族の生命と生活を守り抜く者を「治者」と規定し、統治とは民衆の犠牲の上に成り立つ厳しい営みであるという認識を示していたと指摘する。さらに三島由紀夫や蓮田善明との関係を通じ、江藤が西郷隆盛や三島の自裁に見せた悲壮な調べに心を動かされていた点、そして上野千鶴子らフェミニズム批評との対談における江藤の柔軟さと知的誠実さを高く評価し、江藤の批評には常に知性と勇気が同居していたと総括している。

【参考文献】
江藤淳『成熟と喪失』
江藤淳『アメリカと私』
小島信夫『抱擁家族』
庄野潤三『夕べの雲』
江藤淳『南洲残影』
上野千鶴子・富岡多恵子・小倉千加子『男流文学論』
三島由紀夫『豊饒の海』

【キーワード】
『成熟と喪失』/父性原理と母性原理/「治者」の文学/庄野潤三/三島由紀夫/西郷隆盛/家族と統治/上野千鶴子/フェミニズム/文壇の喪失/知性と勇気