考察・保守主義「大量殺戮者はなぜ生まれる」
【概要】
イデオロギーという純粋な理念への傾倒が大量虐殺を招く危険性を論じる。アンリ・レヴィのイデオロギー批判を引きつつ、共産主義・ナチズムと並び、ロベスピエールが崇拝したルソーの思想がジャコバン派の粛清の源泉であったと指摘する。ルソーの生涯を、告白録に描かれたマゾヒズムや女性遍歴、自らの五人の子を孤児院に送った行為なども交えて詳述し、その美徳への異常な執着と自己神格化が、バークによる批判とも対比される。さらに『社会契約論』の抽象的な人間観・社会観が、現実の個人を軽視し全体を優先する思想へと繋がり、ロベスピエールの大量虐殺の理論的支柱となったことを論じる。最後に、福田恆存ら日本の知識人がルソーやロベスピエールに親和的だった「狂気」を批判し、政治を有徳な理念の実現の場とみなす発想自体の危うさを警告している。
【参考文献】
ベルナール=アンリ・レヴィ『危険な純粋さ』
ピーター マクフィー『ロベスピエール』
ジャン=ジャック・ルソー『告白』
ジャン=ジャック・ルソー『エミール』
ジャン=ジャック・ルソー『人間不平等起源論』
ジャン=ジャック・ルソー『社会契約論』
エドマンド・バーク『バーク政治経済論集』
【キーワード】
イデオロギーと大量虐殺/ルソー/ロベスピエール/『社会契約論』/『告白』/自己神格化/マゾヒズム的傾向/孤児院に子を送った逸話/エドマンド・バーク/全体主義的人間観/福田恆存/日本知識人の狂気
