月刊日本7月号に岩田温の論説が掲載されました!

岩田温×山崎行太郎 今こそ「江藤淳」を読み返す⑰

【概要】
小島信夫『別れる理由』を野間文芸賞選考委員でさえ読み切れなかった作品として紹介し、江藤淳が「時が失われる」というタイトルに関するプルーストへの言及を取り上げつつ、この長大な作品を評価する困難さを語る。江藤の小島論については、『自由と禁忌』や『成熟と喪失』で展開されたアメリカ論との関連性を指摘し、小島の文体がアメリカの影響を受けた「身の部分」への執着を持つ点に江藤が注目していたと論じる。また、『別れる理由』が通時的な時間軸を拒否し、過去と現在が併存する独特な文体を持つことを紹介し、江藤自身の文体もそれに少し似ていると指摘する。さらに、夏目漱石『坊っちゃん』『それから』『明暗』などを引き合いに、漱石が問題を解決せず読者に委ねる文学的姿勢を継承した作家として小島や江藤を位置づけ、後世に残る文学とは何かという問いを投げかけている。

【参考文献】
小島信夫『別れる理由』
江藤淳『自由と禁忌』
江藤淳『成熟と喪失』
夏目漱石『坊っちゃん』
夏目漱石『それから』
夏目漱石『明暗』
夏目漱石『吾輩は猫である』
三島由紀夫『鏡子の家』

【キーワード】
『別れる理由』/野間文芸賞選考/プルースト/アメリカ論と小島文学/通時的時間の拒否/過去と現在の併存/夏目漱石の系譜/問題を解決しない文学/後世に残る作品/江藤の文体との類似