黙れ!石破茂 岩田 温
考察・保守主義「恐怖!人間改造の野望」
【概要】
ルソーが机上の空論家にとどまらず、現実の国家を改造しようとした思想家であったことを論じる。ルソーは『社会契約論』で理想の国家を説いたが、コルシカ島の人々から憲法の起草を依頼され、『コルシカ国制案』を執筆した。コルシカはジェノヴァの支配下にあり、パオリが独立運動を指導していたが、フランス軍に敗れ、島はフランス領となった。この案は未完であるが、ルソーが現実の立法者になろうとした貴重な資料である。ルソーは人間を政治によって変革できると考え、国民各人の「個別意志」を国のための「一般意志」と一致させることを目指した。『人間不平等起源論』では私有財産を人類の悪の起源と批判しながら、『国制案』では全面廃止は不可能として所有権を厳しく制限する立場に転じた。さらに自給自足を重んじ、商業や交換を敵視して、農業中心の国家を構想した。国家が国民の経済と人格を管理するこの発想は、全体主義に通じる危険な思想であると筆者は結論づける。
【参考文献】
ジャン=ジャック・ルソー『社会契約論』
ジャン=ジャック・ルソ『人間不平等起源論』
『ルソー・コレクション 政治』
ジャン=ジャック・ルソー『ポーランド統治論』
ジャン=ジャック・ルソー『コルシカ国制案』
シェイクスピア『リア王』
【キーワード】
ルソー/コルシカ国制案/社会契約論/立法者/一般意志/人間改造/私有財産(所有権)/自給自足(アウタルキー)/全体主義/パスカル・パオリ(コルシカ独立運動)
