月刊正論9月号に岩田温の論説が掲載されました!

考察・保守主義「正義を求める独裁者」

【概要】
正義や理念への純粋な執着が独裁と恐怖政治を生む逆説を論じる連載第五回である。まず三島由紀夫の戯曲「わが友ヒットラー」を糸口に、権力とは自己目的化した暴力の行使ではなく、正義を実現するための決断であるとする政治学の視点を示す。続いてロベスピエールを取り上げ、彼が金銭欲や権力欲に無頓着な「有徳な殺人鬼」であり、清廉潔白であるがゆえに敵を容赦なく粛清した「無思想の権力」の持ち主だったことを、E・H・カー、ツヴァイク、マクフィーらの研究を踏まえて描く。エベールやダントンら左右両派の粛清、恐怖政治を法によって正当化した論理、さらにロベスピエールの後継者フーシェの変節ぶりにも言及し、思想の一貫性こそが全体主義を生む土壌となったこと、翻ってスターリンら失敗した独裁者との対比から、ロベスピエールの政治思想が現代にも警鐘を鳴らしていることを論じている。

【参考文献】
三島由紀夫『決定版 三島由紀夫全集』第二十四巻「わが友ヒットラー」
E・H・カー『ドストエフスキー』
シュテファン・ツヴァイク『ジョゼフ・フーシェ』
ピーター・マクフィー『フランス革命史』

【キーワード】
正義と権力/三島由紀夫/ロベスピエール/有徳な殺人鬼/無思想の権力/恐怖政治/人民の敵/ジョゼフ・フーシェ/全体主義の起源/スターリン