月刊日本1月号に岩田温の論説が掲載されました!

岩田温×山崎行太郎 今こそ「江藤淳」を読み返す⑪

【概要】
江藤淳と吉本隆明の対談「吉本隆明/江藤淳 全対話」を巡り、両者ともに家族や友人の倫理と政治の論理を混同せず、対立を避けようとする姿勢に共通点があると指摘する。江藤の対談における「私は保守です」という発言と、吉本の「私は左翼です」という発言を対比しつつ、二人の対話の柔らかさこそ「海は青い」を成立させる基盤だったと論じる。またニーチェの「ラクダ・ライオン・小児」の比喩を引きながら、丸山眞男らの戦後民主主義的知識人がライオンの段階に留まり、新しい価値を創造する小児の段階に至れなかったことを批判する。さらに、GHQの検閲研究における江藤の先駆性を強調し、丸山眞男の分析が江藤に比べ単純だったと述べる。最後に、暴力と秩序をめぐって、江藤と吉本がともに暴力を全面否定せず、秩序形成における暴力の不可避性を直視していた点、そしてドストエフスキー『罪と罰』を通じて人間の暴力性や絶望に向き合う姿勢に触れ、江藤の思想の奥深さを称賛している。

【参考文献】
江藤淳・吉本隆明『吉本隆明江藤淳全対話』
江藤淳『閉ざされた言語空間』
江藤淳「わが友ヒットラー」フリードリヒ・ニーチェ『ツァラトゥストラはこう語った』ドストエフスキー『罪と罰』
永山則夫『無知の涙』

【キーワード】
吉本隆明/海は青いか/ラクダ・ライオン・小児/丸山眞男/GHQ検閲研究/暴力と秩序/天皇制と暴力/『罪と罰』/人間の暴力性/自己懐疑と自己欺瞞