月刊正論4月号に岩田温の論説が掲載されました!

考察・保守主義「それでも国家が好き」

【概要】
国家否定を志向したかに見えるルソーが、実は国家の起源を熱心に構築しようとした矛盾を検証する。まず、政治哲学において国家の存在を無視することは政治論そのものを否定するに等しいとし、ホッブズの『リヴァイアサン』における自然状態論を参照しつつ、ルソーもまた社会契約論という枠組みで国家成立を説明しようとした点を確認する。続いて『人間不平等起源論』を中心に、私有権の発明と法律の制定が人類に不平等と隷従、そして不幸をもたらした過程をルソーが四つの時代区分で描いたことを詳述し、自己保存の感情や「憐れみ」の情に基づく自然人像、文化・文明が人間を堕落させるとする議論を紹介する。最後に、ルソーが自然法と実定法の矛盾に自ら気づきながらも国家の理想像を描き続けた点、ジュネーヴ共和国への献辞に託した理想と現実の乖離を指摘し、ルソー思想の本質的な矛盾を浮き彫りにしている。

【参考文献】
トマス・ホッブズ『リヴァイアサン』
ジャン=ジャック・ルソー『人間不平等起源論』
ジャン=ジャック・ルソー『社会契約論』

【キーワード】
ルソー/国家否定と国家構築の矛盾/ホッブズ/『リヴァイアサン』/社会契約論/『人間不平等起源論』/私有権の発明/自然状態・自然人/憐れみの感情/文明堕落論/自然法と実定法の矛盾