考察・保守主義「左からも右からも愛された怪物」
【概要】
社会契約論の系譜においてホッブズが左右双方から評価される稀有な政治哲学者であることを論じる。ロールズが『正義論』でホッブズを重視し、リベラリズムの理論構築に影響を受けた一方、保守思想家バークも『リヴァイアサン』を高く評価しており、ホッブズが党派を超えて偉大な思想家と見なされてきた経緯を確認する。続いて『リヴァイアサン』における「自然状態」論を検討し、ロールズがその虚構性を認めつつも理論構築上必要な装置として活用したことを示す。さらにホッブズの自然法における「平和」と「自由」の二命題を紹介し、平和獲得のためには一定の自由を放棄せざるを得ないという現実主義的な人間観・国家観を論じる。カール・シュミットやオークショットの評価にも触れつつ、道徳を国家秩序維持のための手段とみなすホッブズの合理主義的政治哲学の本質を浮き彫りにしている。
【参考文献】
ジョン・ロールズ『正義論』
エドマンド・バーク『フランス革命の省察』
トマス・ホッブズ『リヴァイアサン』
カール・シュミット『レヴィアタン』
ジョン・ロールズ『政治哲学史講義』
【キーワード】
ホッブズ/『リヴァイアサン』/自然状態/社会契約論/ロールズ『正義論』/リベラリズム/平和と自由の二命題/現実主義的人間観/道徳=秩序維持の手段論
