月刊日本6月号に岩田温の論説が掲載されました!

岩田温×山崎行太郎 今こそ「江藤淳」を読み返す⑯

【概要】
江藤淳が丸谷才一の小説『裏声で歌へ君が代』を高く評価し、丸谷との親交を通じて自著『自由と禁忌』でも詳しく論じていたことを紹介する。丸谷が国家や死をエリート層に押しつけながら、大衆にはそれを求めないという構造を鋭く描いた点、また占領軍民間検閲支隊(CCD)の検閲方針を「裏声で歌へ君が代」の枠内に取り込み、戦後日本のリアリティを問い直した点を評価する。さらに、江藤自身が政治評論において「答えのない問い」を考え続けた作家であり、梨田や田辺元らの国家論を通じて、戦時中エリート層が特攻隊員らに死を求めながら自らは安全な場所に留まっていた欺瞞を批判していたと指摘する。加えて、丸谷や江藤が純文学と大衆文学、あるいは国家と個人の関係をめぐる本質的な問いを、答えの出ない形のまま提示し続けた点にこそ、両者の文学的誠実さがあると論じている。

【参考文献】
丸谷才一『裏声で歌へ君が代』
江藤淳『自由と禁忌』
江藤淳『閉ざされた言語空間』
プラトン『国家』

【キーワード】
『裏声で歌へ君が代』/丸谷才一/答えのない問いを考え続ける/CCD(占領軍民間検閲支隊)/エリート層と大衆の欺瞞/純文学ごっこ/国家と死/田辺元の国家論/政治評論の本質/文学的誠実さ