月刊正論8月号に岩田温の論説が掲載されました!

考察・保守主義「人は何のために生きるか」

【概要】
ルソーの『社会契約論』における論理破綻を検証する。まずホッブズの社会契約論を確認し、共同体は構成員の生命保存を目的とするが、他人の生命を守るためであれば自らの生命を犠牲にすることも合理的でありうるとルソーが論じた点を紹介する。続いて、国家防衛のために死を求めることと「他人のために死ぬ生命の方が自分の生命より価値がある」という論理の矛盾を指摘し、ルソーがこの破綻を自覚しつつ「公民宗教」という装置を持ち出し、祖国のために死ぬことを宗教的義務として国民に強制しようとした過程を詳述する。さらに公民宗教を信じない者を追放し、時には死をもって罰するという不寛容な処方と、キケロやカトーの「不死の魂」を求める古代的死生観との対比を通じて、ルソーの思想が全体主義体制の理論的先駆けとなった危険性を論じている。

【参考文献】
トマス・ホッブズ『リヴァイアサン』
ジャン=ジャック・ルソー『社会契約論』
アントニー・ビーヴァー『スターリングラード』
キケロ『老年について』
ドラッカー『産業人の未来』

【キーワード】
ルソー/『社会契約論』/公民宗教/祖国防衛と死の義務/不寛容と追放・処罰/ホッブズとの対比/キケロ/カトー/全体主義の理論的先駆け/宗教による国民統合/「善き市民」と「忠実な国民」