月刊日本8月号に岩田温の論説が掲載されました!

岩田温×山崎行太郎 今こそ「江藤淳」を読み返す⑱

【概要】
江藤淳が大庭みな子『寂寞』を高く評価し、大庭が学生時代からアメリカ文学に親しみ、老子や道教哲学にも通じていた点で江藤と共通の関心を持っていたと紹介する。江藤自身が老子の「道」に若い頃から関心を寄せていた経緯に触れ、谷崎潤一郎『鍵』と大庭『寂寞』を比較しながら、谷崎が乱倫と荒廃を通じて秩序崩壊後の世界を描いたのに対し、大庭は名づけえない混沌そのものを描いたと論じ、江藤がこの「名前のない世界」に強く共感していたと指摘する。さらに江藤の「治者」概念を援用し、統治や秩序を失った世界を描く文学の意義を論じつつ、ニーチェの「三様の変化」やドストエフスキー『罪と罰』を引きながら、混沌から新たな秩序と創造性が生まれる過程にこそ人間の本質があると述べる。最後に、暗黒や死を見つめることによってのみ人間は真の秩序を回復しうるという江藤的な問題意識を確認している。

【参考文献】
大庭みな子『寂兮寥兮』
大庭みな子『三匹の蟹』
谷崎潤一郎『鍵』
江藤淳『自由と禁忌』
老子『老子道徳経』
フリードリヒ・ニーチェ『ツァラトゥストラはこう語った』ドストエフスキー『罪と罰』

【キーワード】
大庭みな子/『寂寞』/老子の「道」/谷崎潤一郎/『鍵』/名づけえない混沌/治者の文学/秩序と荒廃/ニーチェ/「三様の変化」/ドストエフスキー/『罪と罰』/荒廃からの創造/暗黒と死の凝視

安倍元総理慰霊祭に講師としてお招きいただきました!

この度、大阪護国神社で開催された安倍元総理慰霊祭に岩田温が講師としてお招きいただきました。
安倍元総理の功績を振り返りながら、現代日本の抱える諸問題と、高市政権への期待について、講演させていただきました。

講演会の詳細は下記の産経新聞の記事でもご確認いただけます!

【産経新聞】「日本のため走り抜けた人生」大阪護国神社で安倍元首相の慰霊祭、高市首相に憲法改正期待

月刊正論8月号に岩田温の論説が掲載されました!

考察・保守主義「人は何のために生きるか」

【概要】
ルソーの『社会契約論』における論理破綻を検証する。まずホッブズの社会契約論を確認し、共同体は構成員の生命保存を目的とするが、他人の生命を守るためであれば自らの生命を犠牲にすることも合理的でありうるとルソーが論じた点を紹介する。続いて、国家防衛のために死を求めることと「他人のために死ぬ生命の方が自分の生命より価値がある」という論理の矛盾を指摘し、ルソーがこの破綻を自覚しつつ「公民宗教」という装置を持ち出し、祖国のために死ぬことを宗教的義務として国民に強制しようとした過程を詳述する。さらに公民宗教を信じない者を追放し、時には死をもって罰するという不寛容な処方と、キケロやカトーの「不死の魂」を求める古代的死生観との対比を通じて、ルソーの思想が全体主義体制の理論的先駆けとなった危険性を論じている。

【参考文献】
トマス・ホッブズ『リヴァイアサン』
ジャン=ジャック・ルソー『社会契約論』
アントニー・ビーヴァー『スターリングラード』
キケロ『老年について』
ドラッカー『産業人の未来』

【キーワード】
ルソー/『社会契約論』/公民宗教/祖国防衛と死の義務/不寛容と追放・処罰/ホッブズとの対比/キケロ/カトー/全体主義の理論的先駆け/宗教による国民統合/「善き市民」と「忠実な国民」

月刊日本7月号に岩田温の論説が掲載されました!

岩田温×山崎行太郎 今こそ「江藤淳」を読み返す⑰

【概要】
小島信夫『別れる理由』を野間文芸賞選考委員でさえ読み切れなかった作品として紹介し、江藤淳が「時が失われる」というタイトルに関するプルーストへの言及を取り上げつつ、この長大な作品を評価する困難さを語る。江藤の小島論については、『自由と禁忌』や『成熟と喪失』で展開されたアメリカ論との関連性を指摘し、小島の文体がアメリカの影響を受けた「身の部分」への執着を持つ点に江藤が注目していたと論じる。また、『別れる理由』が通時的な時間軸を拒否し、過去と現在が併存する独特な文体を持つことを紹介し、江藤自身の文体もそれに少し似ていると指摘する。さらに、夏目漱石『坊っちゃん』『それから』『明暗』などを引き合いに、漱石が問題を解決せず読者に委ねる文学的姿勢を継承した作家として小島や江藤を位置づけ、後世に残る文学とは何かという問いを投げかけている。

【参考文献】
小島信夫『別れる理由』
江藤淳『自由と禁忌』
江藤淳『成熟と喪失』
夏目漱石『坊っちゃん』
夏目漱石『それから』
夏目漱石『明暗』
夏目漱石『吾輩は猫である』
三島由紀夫『鏡子の家』

【キーワード】
『別れる理由』/野間文芸賞選考/プルースト/アメリカ論と小島文学/通時的時間の拒否/過去と現在の併存/夏目漱石の系譜/問題を解決しない文学/後世に残る作品/江藤の文体との類似