岩田温×山崎行太郎 今こそ「江藤淳」を読み返す⑨
【概要】
江藤淳が三島由紀夫自決をめぐる小林秀雄との対談「歴史について」を、決闘に等しい厳しい対談であったと評し、三島の自決を病気とする小林に対し、堺事件や松陰・松陰事件を引き合いに反論した江藤の粘り強さを評価する。江藤の「ごっこ」論については、三島の『豊饒の海』における人工的なリアリティ構築を批判した鋭い視点だったとしつつ、大江の三島批判はイデオロギー的な単純化に陥りがちだと指摘する。さらに、大江や小林秀雄との対比を通じ、江藤の批評が一般的には合理性を欠くように見えても、歴史的事実に肉薄する迫力を持っていたと語る。晩年江藤が『南洲残影』で西郷隆盛に自らを重ね、三島とは距離を置きつつも割腹という現実に生涯こだわり続けたことを、政治的意義の変化とともに紹介している。
【参考文献】
江藤淳・小林秀雄「歴史について」『諸君!』1971年7月号
江藤淳「『ごっこ』の世界が終ったとき」『諸君!』1971年1月号
江藤淳『南洲残影』
三島由紀夫『豊饒の海』
三島由紀夫『憂国』
大江健三郎『セヴンティーン』
大江健三郎『政治少年死す』
【キーワード】
「ごっこ」論/三島由紀夫の自決/小林秀雄/「歴史について」/大江健三郎/『セヴンティーン』/楯の会/人工的リアリティ/割腹という現実/『南洲残影』と西郷隆盛/江藤淳
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いつかコラムを集めて一冊にしたいと思ってます!
【noteメンバーシップ 岩田温の「温々熱々」】
https://note.com/iwata910/membership?from=self
・特集≪私が考える救国内閣 理想の首相は誰?≫
・考察・保守主義「人は政治のみに生きるのか」
【概要】
本稿は「人は政治のみに生きるのか」と題し、革命政治が国家を絶対化し人間から悲しみや宗教を奪う危険性を論じる連載第七回である。冒頭で岡潔の悲しみ論を引き、政治や理性のみに還元できない人間の情緒に注目したうえで、フランス革命下の理性崇拝運動や「理性の祭典」を取り上げ、エベール派らが無神論を国是化し既存の宗教的・道徳的価値観を破壊した経緯を示す。続いてロベスピエールが無神論を放置すれば秩序が崩壊するとして「最高存在の祭典」を創始し、革命そのものを新たな宗教=「革命宗教」に仕立てた矛盾を、アーレントやマキャヴェリの立法者論、旧約聖書『ヨブ記』などを援用しつつ検討する。さらにポル・ポトやソ連の事例を通じ、国家が家族の絆や個人の信仰よりも優先される全体主義の論理を批判し、革命政治が個人の悲しみや宗教心を圧殺し人間性を歪める危うさを警告している。
【参考文献】
岡潔『情緒と日本人』
ハンナ・アーレント『過去と未来の間』
ミシェル・ヴォヴェル『革命詩人デゾルグの錯乱』
オーランドー・ファイジズ『囁きと密告』
『論語』
『旧約聖書 ヨブ記』
ニッコロ・マキァヴェッリ『ディスコルシ』
【キーワード】
政治と悲しみ/理性の祭典/エベール派/無神論運動/ロベスピエール/最高存在の祭典/革命宗教/アーレント/立法者論/全体主義と家族の絆/『ヨブ記』/マキャヴェリ
岩田温×山崎行太郎 今こそ「江藤淳」を読み返す⑧
【概要】
特攻隊員の遺書に「感謝」や「任務」「使命」といった言葉が頻出することを挙げ、特攻を美化するのではなく、彼らが誇りを胸に行動していたことを理解すべきだと述べる。また江藤淳が占領軍による検閲研究の先駆者であり、『閉ざされた言語空間』などを通じてGHQの検閲が戦後民主主義の形成にいかに深く影響したかを実証的に論じた点を高く評価し、この分野が江藤以前にはほとんど手つかずだったと指摘する。さらに福田恆存との違いに触れ、江藤が検閲下にあっても「静かなる空」といった詩を通じて執筆し続けた事実を紹介し、日本の戦後文学が不毛だったのではなく、検閲や憲法の問題を語らずにいたことが最大の欠陥だったと論じる。また大西郷遺訓や大イスラエル主義といった歴史的視座を交えつつ、経験だけを絶対視する福田の姿勢を批判し、江藤の実証的な研究態度の価値を強調している。
【参考文献】
江藤淳『閉ざされた言語空間』
江藤淳『落葉の掃き寄せ』
江藤淳『忘れたことと忘れさせられたこと』
江藤淳『一九四六年憲法』
河盛好蔵「静かなる空」
『南洲翁遺訓』
【キーワード】
特攻隊員の遺書/検閲研究の先駆者/『閉ざされた言語空間』/GHQと戦後民主主義/検閲/河盛好蔵/福田恆存/戦後文学/一九四六年憲法/実証的研究態度
