月刊正論4月号に岩田温の論説が掲載されました!

考察・保守主義「根本的な間違いは…」

【概要】
「保守」という言葉が安易なスローガンとして濫用される現状を批判し、真の保守主義とは何かを問う連載第一回である。宇野重規や仲正昌樹の概説書を紹介しつつ、両者の議論には政治哲学的な深みや、制度への根源的な愛着が欠けているとの違和感を提示する。続いてハンナ・アーレント『エルサレムのアイヒマン』をめぐる論争を取り上げ、アイヒマンの弁明やユダヤ人指導者への批判を通じて、アーレントに「ユダヤ人への愛」が欠如していたとされる経緯を検討する。さらに坂本多加雄の議論を引きつつ、昭和天皇の御平癒祈願の記帳に見える国民的共同体意識や、祖国を愛する心情こそが保守主義の基盤だと論じ、精神論ではなく具体的な帰属意識に根ざした保守思想の必要性を訴えている。

【参考文献】
宇野重規『保守主義とは何か』
仲正昌樹『精神論ぬきの保守主義』(新潮選書)
エドマンド・バーク『フランス革命の省察』
デイビッド・ヒューム『人間本性論』
ウォルター・バジョット『イギリス憲政論』
ハンナ・アーレント『エルサレムのアイヒマン』
『アーレント=ショーレム往復書簡』
坂本多加雄『象徴天皇制度と日本の来歴』

【キーワード】
保守主義/エドマンド・バーク/制度(インスティテューション)/漸進的改革/ハンナ・アーレント/『イェルサレムのアイヒマン』/悪の陳腐さ/ユダヤ人への愛/坂本多加雄/帰属意識/愛国心

月刊日本3月号に岩田温の論説が掲載されました!

山崎行太郎×岩田温 今こそ「江藤淳」を読み返す②

【概要】
岩田は、江藤淳自身も非対称性を意識しつつ、日本文学とユネスコ本部で行った日本文化講演をまとめた『日本文化の対称性と非対称性』を著しており、これは西洋文学との比較を試みた著作だと紹介する。また江藤の「はじめに言葉ありき」への疑問を軸に、混沌を尊ぶ姿勢と「私」への強いこだわりを指摘し、柄谷行人『探求Ⅱ』が指摘する「一般の私」と「この私」の区別を用いて、江藤・漱石における「私」の特殊性を検討する。さらに、脱構築が本質的に混沌への向き合いを回避しがちだと批判し、江藤は矛盾を抱えたまま生き抜いた点で脱構築者とは異なると論じる。加えて、政治の混沌を生きた政治家自身の態度と文学者の姿勢を対比し、江藤の「文学は政治に近くなくてはならない」という考えに触れながら、江藤淳を今こそ読み返す意義を強調している。

【参考文献】
江藤淳「日欧文化の対称性と非対称性――美術と文学と」
江藤淳『戦後と私』
江藤淳『アメリカと私』
ウンベルト・エーコ『薔薇の名前』
柄谷行人『探求』
フリードリヒ・ニーチェ『悦ばしき知識』
夏目漱石『吾輩は猫である』

【キーワード】
はじめに言葉ありき/混沌と秩序/柄谷行人/日本文化の非対称性/脱構築批判/荘子/夏目漱石/文学と政治/矛盾を生き抜く姿勢

月刊日本2月号に岩田温の論説が掲載されました!

岩田温×山崎行太郎 今こそ「江藤淳」を読み返す

【概要】
江藤淳を「戦う保守」として高く評価し、浅田彰ら当時の若手論客に対しても容赦なく切り込んでいった緊張感ある言論の担い手だったと指摘。江藤淳没後25年を機に著作が相次いで復刊される意義を強調し、今日の日本の退廃は、江藤が生前に発していた警鐘を忘れてしまった結果だとの共通認識を示す。また、主観や「私」を重視する姿勢こそ江藤の一貫した特質であり、客観性やエビデンス、ファクトチェックを絶対視する現代の風潮とは対照的だとして、私憤を突き詰めることでこそ公憤に至るという江藤の思考法に強く感動したと語る。さらに、江藤が留学先アメリカへの憧れと批判という両義的な感情を抱き続けた点に触れ、西郷隆盛・勝海舟をめぐる「勝者」「敗者」論を手がかりに、日本人が忘れがちな古典への向き合い方を問い直すべきだと訴えている。

【参考文献】
江藤淳『海舟余波』
江藤淳『南洲残影』
江藤淳『戦後と私・神話の克服』
江藤淳『アメリカと私』
江藤淳『批評と私』「ペンの政治学」
江藤淳『漱石とその時代』
エドマンド・ウィルソン『愛国の血糊』

【キーワード】
江藤淳/戦う保守/占領/検閲/私憤と公憤/存在論的思考/「私」/西郷隆盛/勝海舟/アメリカ