月刊正論11月号に岩田温の論説が掲載されました!

・特集≪私が考える救国内閣 理想の首相は誰?≫

・考察・保守主義「人は政治のみに生きるのか」

【概要】
本稿は「人は政治のみに生きるのか」と題し、革命政治が国家を絶対化し人間から悲しみや宗教を奪う危険性を論じる連載第七回である。冒頭で岡潔の悲しみ論を引き、政治や理性のみに還元できない人間の情緒に注目したうえで、フランス革命下の理性崇拝運動や「理性の祭典」を取り上げ、エベール派らが無神論を国是化し既存の宗教的・道徳的価値観を破壊した経緯を示す。続いてロベスピエールが無神論を放置すれば秩序が崩壊するとして「最高存在の祭典」を創始し、革命そのものを新たな宗教=「革命宗教」に仕立てた矛盾を、アーレントやマキャヴェリの立法者論、旧約聖書『ヨブ記』などを援用しつつ検討する。さらにポル・ポトやソ連の事例を通じ、国家が家族の絆や個人の信仰よりも優先される全体主義の論理を批判し、革命政治が個人の悲しみや宗教心を圧殺し人間性を歪める危うさを警告している。

【参考文献】
岡潔『情緒と日本人』
ハンナ・アーレント『過去と未来の間』
ミシェル・ヴォヴェル『革命詩人デゾルグの錯乱』
オーランドー・ファイジズ『囁きと密告』
『論語』
『旧約聖書 ヨブ記』
ニッコロ・マキァヴェッリ『ディスコルシ』

【キーワード】
政治と悲しみ/理性の祭典/エベール派/無神論運動/ロベスピエール/最高存在の祭典/革命宗教/アーレント/立法者論/全体主義と家族の絆/『ヨブ記』/マキャヴェリ

月刊日本10月号に岩田温の論説が掲載されました!

岩田温×山崎行太郎 今こそ「江藤淳」を読み返す⑧

【概要】
特攻隊員の遺書に「感謝」や「任務」「使命」といった言葉が頻出することを挙げ、特攻を美化するのではなく、彼らが誇りを胸に行動していたことを理解すべきだと述べる。また江藤淳が占領軍による検閲研究の先駆者であり、『閉ざされた言語空間』などを通じてGHQの検閲が戦後民主主義の形成にいかに深く影響したかを実証的に論じた点を高く評価し、この分野が江藤以前にはほとんど手つかずだったと指摘する。さらに福田恆存との違いに触れ、江藤が検閲下にあっても「静かなる空」といった詩を通じて執筆し続けた事実を紹介し、日本の戦後文学が不毛だったのではなく、検閲や憲法の問題を語らずにいたことが最大の欠陥だったと論じる。また大西郷遺訓や大イスラエル主義といった歴史的視座を交えつつ、経験だけを絶対視する福田の姿勢を批判し、江藤の実証的な研究態度の価値を強調している。

【参考文献】
江藤淳『閉ざされた言語空間』
江藤淳『落葉の掃き寄せ』
江藤淳『忘れたことと忘れさせられたこと』
江藤淳『一九四六年憲法』
河盛好蔵「静かなる空」
『南洲翁遺訓』

【キーワード】
特攻隊員の遺書/検閲研究の先駆者/『閉ざされた言語空間』/GHQと戦後民主主義/検閲/河盛好蔵/福田恆存/戦後文学/一九四六年憲法/実証的研究態度

月刊正論10月号に岩田温の論説が掲載されました!

・参政党よ、本物であれ

・考察・保守主義 サド侯爵のエロい無神論

【概要】
フランス革命期における無神論と道徳崩壊の関係をサド侯爵の思想を通じて論じる連載第六回である。まず久米邦武『米欧回覧実記』を引きつつ、西洋文明の根底にキリスト教信仰があるとの久米の指摘を紹介し、革命が神なき時代を開いたことの意味を問う。次にフランス革命下の司祭たちによる無神論の説教や、革命が神と王政の双方を破壊したことを示し、澁澤龍彦の解説を手がかりに、サドが『閨房の哲学』において自然に従うことを口実に性的放埒、近親相姦、殺人までも正当化する論理を詳述する。サドの思想は自由主義を極限まで推し進めた末に、道徳や法律を全否定する専制主義的な支配欲へと反転することを示し、ドルマンセやロベスピエールら革命家の言動とも重ね合わせながら、理性のみに依拠した無神論・自由主義が狂気と暴力を招く危険性を、チェスタトンの議論も参照しつつ警告している。

【参考文献】
久米邦武『米欧回覧実記』
ジョルジュ・ミノワ『無神論の歴史』
マルキ・ド・サド『閨房の哲学』
G・K・チェスタトン『正統とは何か』

【キーワード】
サド侯爵/『閨房の哲学』/無神論/フランス革命/反キリスト教/自然法/近親相姦/殺人の正当化/専制主義への転化/久米邦武/西洋文明とキリスト教/チェスタトン